新国立劇場について メニュー

2012年3月1日

東日本大震災から1年を迎えるにあたり

 東日本大震災から1年が経とうとしています。あらためて、このたびの東日本大震災によって犠牲になられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被害を受けられました皆様には心よりお見舞い申し上げます。

 昨年3月11日の地震発生時、新国立劇場では、中劇場でオペラ研修所の修了公演「外套」の上演中でした。かなりの揺れが長い間続きましたが、揺れがおさまった後、中劇場の外にお客様を誘導いたしました。当日は、オペラパレスを開放し、交通機関の混乱によりお帰りになれないお客様、そして一般の帰宅困難者、あわせて約200名の方が新国立劇場で一夜を過ごされました。
 その間、職員が夜を徹して、大型テレビの設置やインターネットによる情報収集と提供、水や毛布の提供などの対応にあたらせていただきました。
 お客様に怪我もなく、地震直後の緊急事態に対応することができ、当劇場に避難された多数のお客様からは、感謝のお言葉を頂戴いたしました。

 地震の影響が多方面にわたり、極めて甚大であったことから、3月中に予定しておりました全ての主催公演及び貸劇場、イベントなどの開催は中止せざるをえない状況でした。しかしながら、今回の大災害に際して、劇場として出来ること、果たせる役割は、芸術の力を通じて復興を支援することだと考え、4月からは、震災や復旧の状況を慎重に踏まえつつ、公演を再開いたしました。オペラ「ばらの騎士」の初日公演のみは準備が整わず、やむなく中止とした以外は、指揮者およびキャストの変更や、節電など、震災後の影響による様々な困難な状況の中、国内外から結集した出演者、劇場関係者が一丸となって、オペラ、舞踊、演劇の各分野で、予定どおり全ての主催公演を開催してまいりました。

 評論家やマスコミからは、上演作品の質が高く評価され、また、お客様からは、さまざまな励ましや温かいお言葉を頂戴いたしました。
 また、この劇場にかつて出演した海外の歌手、アーティストの皆様や、世界各国の劇場からも、被災者の皆様のことを案じ、復興を願うメッセージ、劇場への応援のメッセージが多く寄せられました。
 お客様をはじめ、多くのご関係者のみなさまのご理解と多大なご協力に対し、あらためて感謝申し上げます。

 震災直後より、劇場施設の点検を行い、避難誘導の動線を再確認し、劇場係員への教育を徹底するとともに、お客様にも避難方法と避難経路をお配りするなど、ご来場いただくお客様の安全確保のための施策を行っております。また、劇場内各所に義援金箱を設け、皆様からお預かりした義援金は日本赤十字社や日本芸術文化振興会を通じ、被災された方々のもとへお届けさせていただいております。

 今後とも、お客様の安全確保に万全を期し、節電を図りつつ、今シーズン、そして開場15周年を迎える2012/2013シーズンにおきましても、上質な公演をお届けするために、三人の芸術監督と役職員一同、一丸となって努力してまいります。これからも新国立劇場にご愛顧・ご支援を賜りたくお願い申し上げます。

 最後に、今回被害にあわれた全ての皆様の一日も早い復興と、お心が癒される日がくることをお祈り申し上げております。

平成24年3月1日
財団法人 新国立劇場運営財団