舞踊芸術監督
大原永子

2015/2016シーズンは、新制作の全幕バレエ『ホフマン物語』で開幕いたします。本作品の振付家ピーター・ダレルは、スコティッシュ・バレエを設立し芸術監督として活躍した、英国バレエの歴史を語るうえで欠かすことのできない人物です。私自身、スコティッシュ・バレエで長い間ダンサーとして活動してきたため、英国バレエの特徴であるドラマティック・バレエに魅力を感じ、当バレエ団でもストーリー性のある演劇的なバレエ作品をぜひ上演したいと考えました。このピーター・ダレルの代表作『ホフマン物語』を、日本人スタッフによるデザインで装置と衣裳を一新し、新国立劇場バレエ団版として蘇らせます。個性的なキャラクター達が織りなす人間模様を描いた本作品でダンサーの表現力と芸術性を高め、お客様にお楽しみいただける舞台を創りたいと願っております。

年末はクリスマスシーズンの風物詩とも言える『くるみ割り人形』。そして年明け早々には、バランシンの傑作『セレナーデ』、パ・ド・ドゥ集に続き『ライモンダ』より第3幕と、バレエの名場面を揃えた華やかな「ニューイヤー・バレエ」を組みました。また2月にはロマンティック・バレエの名作『ラ・シルフィード』を、ウエイン・イーグリング振付で男性ダンサーのみで踊られる作品『Men Y Men』との二本立てで上演します。5月にスペインを舞台にした明るく楽しい古典作品『ドン・キホーテ』を取り上げた後、芸術性とエンターテインメント性が調和したビントレーの全幕バレエ『アラジン』で、シーズンを締めくくります。

ダンスでは、新国立劇場ならではの多彩な4公演をお届けします。日本が世界に誇る「近松門左衛門」を共通テーマとしたダンス公演「近松DANCE弐題」を4シーズンぶりに上演します。また、新国立劇場バレエ団ダンサー自身による振付作品と、2014年にバレエ団によって初演されたジェシカ・ラングの『暗やみから解き放たれて』を「Dance to the Future 2016」として上演する予定です。振付作業を通してより深く作品と向き合うダンサーの成長と創造力にご注目ください。続いては、音楽性も高く評価されている平山素子による新作が登場します。そしてシーズンの最後を飾るのは、映像、照明、グラフィック・アート、舞台装置デザインなど、洗練された「メディア・アート」により、現代のダンス・パフォーマンス芸術に新たな可能性を開拓した高谷史郎(ダムタイプ)の作品です。

2シーズン目も、幅広い層のお客様にご満足していただけるような、多種多様で質の高い新国立劇場のバレエ・ダンス公演でありたいと願っています。皆様のお越しを心よりお待ちしております。

プロフィール

橘秋子、牧阿佐美、アレクサンドラ・ダニロワ、イゴール・シュベッツォフに師事。橘バレエ学校を卒業後、橘バレエ団を経て1956年、牧阿佐美バレヱ団結成と同時に入団。62年に『白鳥の湖』の主役に抜擢され、以後同団のプリマ・バレリーナとして古典、創作を問わず数多くの作品に主演する。71年にアメリカに留学し、74年に渡英。ニューロンドンバレエからロンドン・フェスティバル・バレエ、さらにスコティッシュ・バレエへと移籍。77年、スイスのバーゼル・バレエに一時在籍した後、78年に再びスコティッシュ・バレエに戻り、96年までプリンシパル・ダンサーとして活躍。72年舞踊批評家協会賞、82年芸術選奨文部大臣賞、91年服部智恵子賞を受賞。95年よりスコティッシュ・バレエでコーチを務める。97年には大英勲章(OBE)を日本人アーティストとして初めて授与された。
2004年紫綬褒章受章。12年橘秋子賞特別賞受賞。14年に旭日小綬章を受章。1999年より新国立劇場バレエ団のバレエ・ミストレスを務め、2010年に同バレエ団の監督補。14年9月新国立劇場舞踊芸術監督に就任。