舞踊芸術監督
大原永子

2014/2015シーズンより新国立劇場舞踊芸術監督の任につかせていただくにあたり、その重責に身の引き締まる思いでおります。

新国立劇場バレエ団は、歴代の舞踊芸術監督の信念と指導のもと大きく発展してきました。私自身、1999年から当バレエ団のバレエミストレスとして、2010年からは監督補として、その成長を目の当たりにしており、非常に頼もしく、嬉しく思っております。これまでの蓄積を大切にしながら、私が舞台で積み重ねた経験をダンサーたちに伝承することで、新国立劇場バレエ団のさらなる飛躍に貢献してまいりたいと思います。

私の芸術監督としての最初のシーズンは、新制作の全幕バレエ『眠れる森の美女』で幕を開けます。これは新国立劇場バレエ団のために新制作されるもので、演出はウエイン・イーグリング。ロイヤル・バレエの元プリンシパルであり、オランダ国立バレエ、イングリッシュ・ナショナル・バレエの芸術監督を歴任。現在は国際的な振付家として高く評価されています。素晴らしい作品になることを確信しており、この大作が新国立劇場バレエ団のレパートリーに新たに加わることを大変嬉しく思います。

そして、クリスマスには不朽の名作アシュトン版『シンデレラ』、待望の再演である牧阿佐美版『ラ・バヤデール』、またバランシンの『テーマとヴァリエーション』、ナチョ・ドゥアトの『ドゥエンデ』、ロバート・ノースの『トロイ・ゲーム』で構成される「トリプル・ビル」、ローラン・プティの『こうもり』と続き、牧阿佐美改訂版『白鳥の湖』でシーズンを締めくくります。

ダンスでは、新国立劇場ならではの創造性あふれる4公演をお届けします。現在、世界中のバレエ団にとって、コンテンポラリー作品は「ダンスの今」に触れるという意味でも、重要なものです。今シーズンにも新国立劇場バレエ団ダンサーの振付による新しいダンス作品を披露する「Third Steps」を企画しており、彼らの作品の水準、想像力と挑戦をぜひご覧いただきたいと思います。

日本には独自のダンスの歴史があります。そしてダンスの現在は、スタイルも多様性に富んでいます。私はダンスはその時代の空気を感じ、常に発展していくものと考えます。新しい魂が生み出される瞬間をみなさまと分かち合いたいと思います。

感動と興奮をお届けしながら、新たな試みをご紹介できる新国立劇場のバレエ、ダンスでありたいと願っています。ぜひ、劇場へ足をお運びください。

プロフィール

橘秋子、牧阿佐美、アレクサンドラ・ダニロワ、イゴール・シュベッツォフに師事。橘バレエ学校を卒業後、橘バレエ団を経て1956年、牧阿佐美バレヱ団結成と同時に入団。62年に『白鳥の湖』の主役に抜擢され、以後同団のプリマ・バレリーナとして古典、創作を問わず数多くの作品に主演する。71年にアメリカに留学し、74年に渡英。ニューロンドンバレエからロンドン・フェスティバル・バレエ、さらにスコティッシュ・バレエへと移籍。77年、スイスのバーゼル・バレエに一時在籍した後、78年に再びスコティッシュ・バレエに戻り、96年までプリンシパル・ダンサーとして活躍。72年舞踊批評家協会賞、82年芸術選奨文部大臣賞、91年服部智恵子賞を受賞。95年よりスコティッシュ・バレエでコーチを務める。97年には大英勲章(OBE)を日本人アーティストとして初めて授与された。
2004年紫綬褒章受章。12年橘秋子賞特別賞受賞。1999年より新国立劇場バレエ団のバレエ・ミストレスを務め、2010年に同団の監督補に就任。12年9月から新国立劇場舞踊芸術参与。14年9月新国立劇場舞踊芸術監督に就任。